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認知症の相続人がいる場合、相続手続きを進めるために必要な遺産分割協議を行うことは難しくなります。
認知症などで、判断能力を欠いた状態でした遺産分割協議への意思表示は、法律上は無効となるからです。
このような場合、成年後見制度の利用を検討することが考えられます。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力がない方に代わって、家庭裁判所によって選任された後見人が財産管理を行う制度です。
相続手続きでは、後見人が認知症の相続人に代わって、遺産分割協議への意思表示を行うことで、遺産分割協議が有効成立することになります。
しかし、相続手続きの完了後も、成年後見制度をやめることは、現時点ではできません。
(令和8年の民法改正により、令和10年以降は成年後見制度を終了させることは可能となりました。)
成年後見人への費用負担は、継続することとなってしまいます。
成年後見人が財産管理を行う場合、家庭裁判所への財産状況の報告をすることが義務となっています。
成年後見人に対しては、年間20万円~50万円程度の報酬が被後見人(本人)の財産から支出されることになります。
遺産分割協議を行うためだけに成年後見制度を利用しないといけなくなることが、周囲の親族にとっては負担となります。
成年後見制度の利用の代替案として、遺産分割調停において特別代理人を選任(家事事件手続法第19条)を検討することができます。
特別代理人は、遺産分割調停においてのみ認知症の相続人の代理人として手続きを進めることになります。
遺産分割調停の終了によって、特別代理人の職務も終了となります。
成年後見制度を利用せず相続手続きを進めることが可能となります。
もっとも、特別代理人を選任するためには、遺産分割調停を申し立てる必要があるため、一時的な費用負担が発生します。
家庭裁判所によっては、特別代理人の選任を認めず、成年後見制度の利用を求められることもあるため、十分な検討が必要となります。
家事事件手続法第19条第1項
「裁判長は、未成年者又は成年被後見人について、法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、家事事件の手続が遅滞することにより損害が生ずるおそれがあるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、特別代理人を選任することができる。」
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